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胃がんの手術

胃がんとは

胃がんは、胃壁の最も内側にある層(粘膜層)から発生する悪性腫瘍で(図1)、何らかの原因で粘膜層内の正常な細胞が、無秩序に増殖を繰り返すことで生じます。本邦においては、胃がんは部位別がん死亡数で男性は肺がんに次いで二番目に多く、女性も三番目に多い疾患となっています(図2)。しかし、がん検診の普及とともに早期発見される場合も多くなり、胃がんで亡くなる人の割合は減ってきています。
 胃がんの症状としては、胃痛や胃部不快感・違和感などが挙げられますが、胃がんに特有の症状ではなく、良性の胃潰瘍や胃炎でも生じる症状でもあります。また、進行しても自覚症状がなく、検診のバリウム検査や内視鏡検査で発見される事も少なくありません。食事の際のつかえ感や体重減少といった症状は進行している可能性があるので、早期の医療機関の受診が必要となります。

fig1.がんの発生と進行(図1) 拡大して見る
fig2.部位別がん死亡数の推移(図2) 拡大して見る


治療方針

・早期がん※1  ⇒内視鏡的切除(EMR,ESD※2)

・早期がん/進行がん  ⇒外科的切除

・遠隔転移を伴う進行がん  ⇒原則 抗癌剤治療※3

※1 深さが浅い,大きさが小さい,がんの顔つきが良い,などの条件がガイドラインで決められています

※2 EMR:内視鏡的粘膜切除術 ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術

※3 がんによる出血の予防や通過障害回避目的の切除術やバイパス術を行う事もあります


 がんが進行し、周囲の臓器にまで浸潤し切除不可能な場合や、遠隔転移(血液にのって肝臓や肺に転移)がある場合は、切除しても切除しなくても予後は変わらない事が示されており、抗がん剤治療が中心となります。
 遠隔転移が無く、切除可能な場合(=切除により病変を取り切る事が可能な場合)は、内視鏡的切除(EMR,ESD※2)と外科的切除のいずれかが選択されます(図3)。 進行しているがんの場合は外科的切除(胃の切除+周囲リンパ節の切除(郭清))の適応となりますが、早期のがんの場合、条件がそろえば(深さが浅い、がんの顔つきが良い、大きさが小さいなど)、周囲のリンパ節への転移の可能性がほとんど無いため、内視鏡的切除でがんをすべて取り切る事が可能です(図4)。しかし、早期のがんでも、大きさが大きい場合や、深さが深い場合、がんの顔つきが悪い場合は、たとえ内視鏡的切除でがんを取り切っても、周囲のリンパ節に転移している可能性があり、治療としては不十分な場合があります。そのような場合は、転移している可能性のある周囲のリンパ節を一緒に切除(郭清)する必要があり、外科的切除の適応となります。
 また、遠隔転移を伴う場合は基本的に抗がん剤治療が基本となりますが、がんからの出血を予防する目的や、狭窄による通過障害を回避する目的で、切除術やバイパス術も行う事があります 。

fig3.胃がんの治療方針(図3) 拡大して見る
fi4.ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術(図4) 拡大して見る


術式の選択

< 胃切除>

  ・胃の下部の早期/進行がん ⇒幽門側胃切除

  ・胃の上部の進行がん,胃全体に広がるがん ⇒胃全摘術

  ・胃の上部の早期がん ⇒噴門側胃切除

<再建方法>

  ・胃全摘術 ⇒Roux-Y再建

  ・幽門側胃切除 ⇒Billroth-I再建、Roux-Y再建

  ・噴門側胃切除 ⇒食道-残胃吻合、double tract吻合、など


 外科的切除の基本は、@病変を含んだ胃の切除A転移している可能性のある周囲のリンパ節を取る(郭清する)B新しい食べ物の通り道を作る(再建)、この3点です。
 どのくらい胃を切除するかは、病変の部位により決まります。胃の下部(十二指腸側)にできた病変であれば、上部(食道側)の胃を1/2〜1/3残すことが可能です(幽門側胃切除術)。 一方で胃の上部(食道側)に病変がある場合は、進行がんであれば、リンパ節をしっかりと郭清するため、胃を全部切除する術式(胃全摘術)が選択されます。早期がんであれば胃の下部(十二指腸側)を残す手術(噴門側胃切除)を選択する事も可能です。胃全体に病変がひろがっている場合は胃全摘術を行います(図5)。
 新しい食べ物の通り道の再建方法は、切除する胃の大きさによって異なります。幽門側胃切除の場合、残った胃の大きさによって、胃と十二指腸を直接つなぐBillroth(ビルロート)-T法や、小腸を持ち上げて胃とつなぐBillroth(ビルロート)-U法やRoux-Y(ルーワイ)再建があります(図6)。また、胃全摘術の場合は、小腸を直接食道につなげるRoux-Y(ルーワイ)再建となり(図7)、噴門側胃切除の場合は残った胃の大きさによって、再建方法を選択します。

fig5.選択術式(図5) 拡大して見る
fig6.幽門側胃切除後の再建方法(図6) 拡大して見る
fig7.胃全摘術後の再建方法(図7) 拡大して見る
 

腹腔鏡手術の適応

早期癌 ⇒腹腔鏡下手術

進行癌 ⇒開腹手術


 腹腔鏡手術は開腹手術と比較すると、キズも小さく、術後の回復経過も早く、患者さまにとってはメリットの大きい手術です。胃がんに対する腹腔鏡手術は、1991年に世界に先駆け日本で最初に行われました。手術手技も確立されてきており、早期の胃がんに対する腹腔鏡手術の安全性や根治性に対しては、多くの臨床試験のevidence(証拠)が報告されておりますが、進行した胃がんに対する腹腔鏡手術の明確なevidence(証拠)は現在ではありません。しかし、前述のように、腹腔鏡手術は、患者さまにとってはメリットの大きい手術ですので、安全性・根治性を担保しながら、当院でも積極的に導入しております(図8,9)。

fig8.腹腔鏡手術と開腹手術の創部の違い(胃がん)(図8) 拡大して見る
fig9.腹腔鏡手術風景(胃がん)(図9) 拡大して見る


術後経過

手術翌日には水分摂取を開始し、術後4日目には食事を開始します。術後早期の離床が体力の回復や術後合併症を減らす事につながるため、状態が良ければ翌日には歩行を開始します。術後経過が良ければ7〜10日目で退院可能となります。
  当院では、クリニカルパス(入院中に行われる検査、手術、処置などの医療行為や、食事や安静度など、患者さまの療養に関する予定を記載した計画表)をお渡し、患者さま自身がご自分の治療予定について、一目で把握できるようにしております(図10)。

fig10.クリニカルパス(図10) 拡大して見る
 


診療実績(下記の疾患の手術に強みがあります)


  ■胃がんの手術/■胃粘膜下腫瘍の手術 ■胃潰瘍・十二指腸潰瘍穿孔の手術
  ■大腸がんの手術■胆石症・胆嚢炎の手術 ■膵がんの手術■胆道がんの手術
  ■肝がんの手術■鼠径ヘルニアの手術■痔核の手術

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